半世紀かけて樹林形成観察
松枯れ被害が目立つ新居町の遠州灘海岸松林で7日、半世紀後の広葉樹林などの形成を目指す息の長い試験が始まった。
松林を所有する東京大学演習林の職員7人が8日までの2日間で、広葉樹と針葉樹合計11種類約600本を植え、観察を続ける。
松が枯れた0・2ヘクタールに植えているのは、アラカシ、スダジイ、タブノキ、ヤマザクラなどで、地域の自然に合った植物。労力をかけない植栽方法を探るため、客土、下刈りの有無で4種類の環境をつくり、木を植えている。
この実験で同町に適した樹種と最低限の労力で樹林をはぐくむ方法が分かる。
松が枯れた場所には、日本に存在することが好ましくない外来種「ニセアカシア」が自生している。ニセアカシアは成長力が旺盛で、1度はニセアカシアの樹林になることが予想される。
しかし、ニセアカシアは約50年で寿命を迎えるため、ニセアカシアが枯れた後、今回植えたアラカシ、スダジイなどが成長し、地域の自然特性に調和した樹林ができる可能性がある。
東大演習林の職員沢田晴雄さんは「今回植えた木の成長、ニセアカシアとの関係を年3回、観察し続ける。松林は全体で27ヘクタールで、松枯れ被害が顕著。ほかの場所にも広葉樹などを植えていきたい」としている。
2007/03/08 静岡新聞